特許法Q&A



1. 発明とは?
2. 新規性(29条1項各号)・進歩性(29条2項)
3. 拡大された範囲の先願(29条の2)
4. 発明の新規性喪失の例外規定について
5. 職務発明とは?
6. 発明の単一性とは?
7. 国内優先権制度
8. 出願の変更
9. 出願公開制度
10. 補償金請求権(出願公開の効果)
11. 特許権の存続期間
12. 特許権の効力が及ばない範囲
13. 特許発明の技術的範囲
14. 通常実施権の種類
15. 特許権の侵害とは?
16. 侵害とみなす行為
17. 損害額の推定
18. 拒絶査定不服審判について
19. 特許無効審判について
20. 訂正審判とは?訂正の請求とは?
21. 職権進行主義について
22. 職権探知主義について
23. 職権審理主義について
24. 審決に対する訴えについて


発明とは?


発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいいます。特許法では、発明の保護および利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達を寄与することを目的とする。

新規性(29条1項各号)・進歩性(29条2項)


特許を受けるためには、その発明が新規性・進歩性を有している必要があります。

拡大された範囲の先願(29条の2)


特許出願に係る発明が、その特許出願の日前の他の特許出願等であって、特許出願後に特許公報等の発行がされたものの願書に最初に添付した明細書等に記載された発明等と同一であるときは、その発明については、29条1項の規定に関わらず特許を受けることができません。

先願の特許公報等が発行される前に出願されたものであっても、先願の公報等に掲載された内容と同一の発明については、新しい技術をなんら公開するものではなく、このような発明に特許権を与えることは新規発明公開の代償として特許権を付与するという特許制度の趣旨に反します。

そこで法は、先願の処理を待たずして後願を処理すべく、先願が補正により請求の範囲を増減できる最大の範囲である願書に最初に添付した明細書等に記載された範囲の全部に後願排除効を与えることとしました。また出願人は、関連技術について別途出願したり審査請求することもなく、第三者の後願を排除できることにより主たる技術について権利を取得すれば十分であるようになりました。

発明の新規性喪失の例外規定について


発明が、特許を受ける権利を有する者の意に反して、または特許を受ける権利を有する者の行為に起因

職務発明とは?


職務発明とは、その性質上使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在または過去の職務に属する発明のことをいいます。

発明の単一性とは?


二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより、発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願することができます。経済産業省令で定める技術的関係とは、特許施行規則25条の8に規定する、二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有していることにより、これらの発明が単一の一般的発明概念を形成するように関連している技術的特徴をいいます。また特別な技術的特徴とは、発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴をいいます。

国内優先権制度


国内優先権の制度は、先の国内出願を基礎として優先権の主張をすることができる制度です。改良発明について、包括的で漏れのない権利取得を可能とするために導入されたものです。

国内優先権の主張をするための要件は、

@ 先の出願から1年以内に出願すること
A 同一出願人(その出願の際における承継人も含む)により出願すること
B 先の出願が、分割・変更・実用新案登録に基づく特許出願でないこと
C 先の出願が、その出願の際に放棄、取下げ、却下されていないこと
D 先の出願が、その出願の際に査定又は審決が確定していないこと
E 先の出願が、その特許出願の際に設定登録されていないこと
F 出願と同時に優先権主張する旨及び先の出願の表示を記載した書面を提出すること

優先権の基礎とされた先の出願は、その出願の日から1年3月を経過した時に取り下げられたものとみなされます。すぐに取り下げとしてしまうと、出願人が誤って優先権の主張をした場合に酷である一方で、出願公開の準備に入る時期を考慮して1年3月を経過した時に取り下げられたものとみなされます。

出願の変更


特許出願から、実用新案登録出願や意匠登録出願へ出願変更することができます。特許出願から実用新案登録出願への変更可能な時期は、拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から3月以内、又は特許出願の日から9年6月以内にする必要があります。 特許出願から意匠登録出願への変更可能な時期は、拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から3月以内に限られます。

出願公開制度


特許出願の日から1年6月を経過したときは、その出願について出願公開がなされます。ただし、既に特許掲載公報の発行をしたものを除きます。

出願公開の際に、特許公報に記載される事項は、

@ 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
A 特許出願の番号及び年月日
B 発明者の氏名及び住所又は居所
C 願書に添付した明細書及び請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容
D 願書に添付した要約書に記載した事項
E 外国語書面出願にあっては、外国語書面及び外国語要約書面に記載した事項
F 出願公開の番号及び年月日
G 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

上記のC〜Eまでに掲げる事項については、特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるときは、掲載されません。

補償金請求権(出願公開の効果)


出願公開があった後に、第三者が出願に係る発明を実施しているときは、特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告した場合には、警告後特許権の設定登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払いを請求することができます。相手方が悪意の場合には、警告をしない場合でも補償金の支払いを請求することができます。補償金請求権の行使は、特許権の設定の登録があつた後でなければ行うことができません。

特許権の存続期間


特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了します。特許権は商標権とは異なり、更新制度が採用されていません。それは、発明者の発明を保護したいという要求と、第三者の発明を利用したいという要求を調和

特許権の効力が及ばない範囲


@ 試験又は研究のためにする特許発明の実施
A 単に日本国内を通過するに過ぎない船舶若しくは航空機又はこれらに使用する機械、器具、装置その他の物
B 特許出願の時から日本国内にある物
C 二以上の医薬(人の病気の診断、治療、処置又は予防のため使用する物をいう。以下この項において同じ。)を混合することにより製造されるべき医薬の発明又は二以上の医薬を混合して医薬を製造する方法の発明に係る特許権の効力は、医師又は歯科医師の処方せんにより調剤する行為及び医師又は歯科医師の処方せんにより調剤する医薬


特許発明の技術的範囲


特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められます。その際に、願書に添付した明細書の記載や図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとします。要約書の記載は考慮してはなりません。特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができます。判定は3名の審判官の合議体により行われます。判定に法的拘束力はありません。

通常実施権の種類


特許法における通常実施権は、3種類あります。

@ 許諾による通常実施権

A 法定通常実施権

  ・職務発明による通常実施権
  ・先使用による通常実施権
  ・特許権の移転登録前の実施による通常実施権
  ・意匠登録の存続期間満了による通常実施権
  ・特許無効審判の請求登録前の実施による通常実施権
  ・再審の請求登録前の善意の実施による通常実施権

B 裁定通常実施権

  ・不実施の場合の通常実施権
  ・公共の利益のための通常実施権
  ・自己の特許発明を実施するための通常実施権

特許権の侵害とは?


特許権の侵害とは、権原なき第三者が業として他人の特許発明の実施をすること、または一定の予備的行為をいいます。 一定の予備的行為とは、特許法101条各号に掲げる侵害とみなす行為をいいます。侵害とみなす行為については、次の【侵害とみなす行為】をご覧ください。

侵害とみなす行為


@ 特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
A 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
B 特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
C 特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
D 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
E 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為

損害額の推定等(102条)


損害賠償請求をするに際し、賠償額の立証責任は特許権者等の側にあります。しかし特許権侵害の場合には、その立証が容易ではなく、十分に賠償を受けることができないという事例も少なくありませんでした。そこで法は、特許権者等の損害額の算定の負担を軽減するために、損害額の推定等の規定を設けています。

1項では、侵害者が譲渡した侵害品の数量に、特許権者等がその侵害行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、(特許権者等の実施能力に応じた額を超えない限度において)損害の額とすることができます。ただし、侵害品の譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を販売できない事情があるときは、それに応じた額を控除します。

2項では、侵害者が侵害の行為により利益を得ている場合には、その利益の額を損害の額と推定することができます。

3項では、特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額として賠償を請求することができます。

拒絶査定不服審判について


拒絶をすべき旨の査定の謄本の送達を受けた日から3月以内に拒絶査定不服審判の請求をする必要があります。 また、拒絶査定不服審判の請求と同時に補正を行うことも可能です。

特許無効審判について


特許が下記の無効理由に該当するときは、

一 その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたとき。

二  その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、第三十八条又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。

三  その特許が条約に違反してされたとき。

四  その特許が第三十六条第四項第一号又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとき。

五  外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。

六  その特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたとき(第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。

七  特許がされた後において、その特許権者が第二十五条の規定により特許権を享有することができない者になつたとき、又はその特許が条約に違反することとなつたとき。

八  その特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正が第百二十六条第一項ただし書若しくは第五項から第七項まで(第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)又は第百三十四条の二第一項ただし書の規定に違反してされたとき。

何人も特許無効審判の請求をすることができます。

訂正審判とは?訂正の請求とは?


訂正とは、願書に添付した明細書等に記載不備がある場合に、訂正することをいいます。

訂正審判を請求することができる期間は、特許権が設定登録されてから、消滅後もすることができます。ただし、特許無効審判が特許庁に継続した時から、その審決が確定するまでの間はすることができません。また、特許が無効になった後もすることができません。

訂正の請求ができる期間は、

@ 無効審判の審判請求書の副本送達に伴う答弁書提出期間
A 要旨変更補正をした場合の、請求書の副本送達に伴う答弁書提出期間
B 有効審決を取り消す旨の判決による指定期間
C 職権審理をした場合の、意見の申し立て期間
D 審決の予告に対する指定期間

職権進行主義について


特許法152条には、審判長は、当事者又は参加人が法定若しくは指定の期間内に手続をせず、又は出頭しないときであつても、審判手続を進行することができる旨を定めています。

職権探知主義について


当事者の主張に拘束されることなく、積極的に職権で必要な事実の探知や証拠調べ、証拠保全を行う主義のことをいいます。特許法150条1項には、審判に関しては、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠調をすることができる旨が定められています。また2項には、審判に関しては、審判請求前は利害関係人の申立により、審判の係属中は当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠保全をすることができる旨が定められています。

職権審理主義について


特許法153条には、審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる旨が規定されています。

審決に対する訴えについて


審決等の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があった日から30日以内に東京高等裁判所に提起する必要があります。この30日の期間は、審判長による職権で、遠隔又は交通不便の地にある者のために、付加期間を定めることができるものとしています。 訴えを提起することができる者は、当事者、参加人、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限られます。 一般的な行政処分であれば、法律上の権利関係がある第三者にまで原告適格を与えても支障はないのですが、対世的権利である特許権は、利害関係人の範囲が著しく広範であり、裁判渋滞の原因になってしまう可能性があります。そこで、原告適格を当事者、参加人、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限っています。


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